230929 みくに工業事件

長野地裁諏訪支部平23.9.29判決・労働判例1038-5)

1.準社員である原告Xの本件解雇の前後を通じて派遣社員ないし請負会社の相当数を受け入れていたことについて、実態としては正規社員や準社員からより雇用調整の容易な派遣社員等への入替えがなされていたと評価せざるを得ず、整理解雇の有効性(人員削減の必要性)を判断する場合に、このような実態を安易に容認することはできないとされた例

2.準社員を整理解雇の対象として選定したことについて、準社員には退職金を除きすべて正規社員に適用される就業規則および給与規定が適用されること、その他の準社員と正規社員との差異は準社員が企業内組合の組合員ではない点程度しか存しないことに照らせば、準社員は会社の結びつきの面でも正規社員と全く同一ではないもののこれに準じた密接な関係にあると解され、整理解雇の有効性(人選の合理性)を判断する場合に、原告Xが準社員であったことが解雇対象者選定の事情として合理的であると認めることができないとされた例

3.経営不振を理由として準社員一人に対してなされた解雇がいわゆる整理解雇に該当するとし、本件解雇の時点で被告Y社に切迫した人員削減の必要性があったとまで認められないうえ、Y社においては、本件解雇に先立ち、解雇回避努力を十分に尽くしたとはいいがたく、本件解雇の対象者の人選についても合理性を認めることができないから、本件解雇の手続きの相当性について直ちにこれを欠くものとはいえないことを考慮しても、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとされた例