231031 日本航空(雇止め)事件

  (東京地裁平23.10.31・労働判例1041-20)

1.契約社員の2年目契約が自動的に更新されることあるいは雇用期間が通算3年に達した後に正社員と雇用されることが原告Xと被告Y1社間の雇用契約の内容になっているということはできないとされ、契約社員の雇止めについて当然に解雇権濫用法理の適用がある旨のXの主張が退けられた例

2.雇止めが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」かどうかの判断に当たっては、解雇権濫用法理が当然に適用される期間の定めのない雇用契約の場合と同一とはいえず、当該雇用契約の性質、内容を十分に考慮したうえでの判断が求められるというべきであるとされた例

3.本件雇止めに当たっては解雇権濫用法理が類推適用されるものの、Xの雇止めに関し、Xが業務適格性を欠くとのY1社の評価・判断は不合理なものとは認められず、本件雇止めは無効なものにはならないとされた例

4.退職勧奨を行うことは、不当労働行為に該当する場合や、不当な差別に該当する場合などを除き、労働者の任意の意思を尊重し、社会通念上相当と認められる範囲内で行われる限りにおいて違法性を有するものではないが、その説得のための手段、方法が上記範囲を逸脱するような場合には違法性を有するとされた例

5.懲戒解雇の可能性を示唆するなどして、Xに対して退職を求めた被告Y2の言動が、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱している違法な退職勧奨とされ、Y1社とY2に対し慰謝料20万円の請求が認容された例