231117 いまい事件

  (札幌地裁平23.11.17・労働判例1041-5)

1.被告Y(原告X社取締役)は、他社で経理等の業務に従事したり、独立行政法人で株式会社の上場に携わったりする等の経験を持っていることから、X社代表者から同社への入社を強く要請され、採用時の年収は当初の提案(420万円)を上回る本人希望700万円とされ、採用後はX社における経理財務の全般を統括し、X社代表者から深く信頼されていたことから、X社においてその経費等の支出を含めた経理財務関係の業務について一定の裁量を有していたとし、Yが行った具体的な経費等の支出が違法と評価されるのは、当該経費等の支出がYの有する裁量を逸脱し、または濫用したとものと認められる場合であるとされて例

2.X社の資金繰りや経理の全般を統括する立場にあった取締役Yによる、X社名義のクレジットカードの使用による給油代金(Yの家族が使用する車両の給油のための部分)、車両の整備等代金(X社の業務に使用されることが予定されない車両のための部分、およびX社が保有する車両のためとは認められない部分等)、Yの通勤のための車両へのナビの設置代金、Y宅の除・排雪代、ETCカードの使用料(Yが私的用途に使ったと認められる部分)の支出について、Yの有する裁量を逸脱し、または濫用したものと認められるとして、X社の損害賠償請求が認容された例