吉原泰助先生を偲ぶ会でのスピーチ

 吉原先生は、1949年に二学部で発足した福島大学を、拡充することで大きな役割を演じていただきました。

 74年間の福島大学の歴史の中で、2学部時代が38年と半分以上。何とか学部増、キャンパス統合が大学の目標だったのですが、38年目にして改組型の行政社会学部を増設できました。純増型ではなかったが、学生数20名の増に対して、教員30名の増という、今から考えると恵まれていたわけです。

 文系3学部の実現ができたが、何とか理系が欲しいということで、大学創設55年目の2004年には、共生システム理工学類を増設。しかし、教員数は増えない困難な中での増設でした。国立大学法人化の中で、学長として先頭に立った吉原先生は、リーダーシップを発揮されました。

 福島大学は、2011年の大震災を経て、さらに70年目の2019年4月に農学群食農学類を増設し、実質5学部の総合大学となっています。

 2学部時代から総合大学へ、吉原先生のご尽力なくしては実現できなかったと思います。

 学内でのリーダーシップのみならず、学外でも、2005年に発足した福島県九条の会の代表として、お亡くなりになる日まで17年間も、憲法改悪に反対し、平和を守る運動の先頭に立ち、また、福島大学に寄贈された松川事件の資料を、松川資料室としてたち上げ、ユネスコの世界記憶遺産登録をめざして、全国に呼びかけてきました。

 また、いうまでもなく、有能な人材を吉原ゼミから排出し、いまや、研究者として、さらに社会的実践者、実業界などで、ご活躍されており、今日の偲ぶ会も、吉原先生のご指導を受けた皆さんの力で実現できました。

 いつも冷静に、我々若輩にも指導をしていただきましたが、何とか吉原先生の教えを大切して、進みたいと思います。本当に、心から感謝をし、ご冥福を祈りたいと思います。(2023年2月5日/福島市エルティ)