8月6日の朝

「コープふくしま」では、月初めの月曜日の朝、定例で朝礼があります。

理事長の挨拶から始まりますが、以下のような話をしました。

(その通りではありませんが)

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おはようございます。

連日、暑さが続いていますが、体調を崩さないよう、気を付けて働いてほしいと思います。

今日は、8月6日。広島に原爆が投下されて、多くの犠牲者を出してから67年になります。続いて8月9日、長崎に原爆が投下されました。

1951年に日本は独立しましたが、1954年に第5福竜丸がアメリカの水爆実験の被災を受けて、これを契機に原水爆禁止運動が始まりました。

私は1963年に大学に入学していますが、学生も実行委員会を作って、仙台市内の地図を線引きして、分担して、戸別訪問による募金活動をしながら、原水爆禁止世界大会に代表を送った記憶があります。

まさに平和運動というと、原水爆禁止運動だったといえます。核兵器をなくす運動は強くなりましたが、なかなか実現するどころか、残念ながら、核兵器保有する国は増えています。憲法の前文に「平和に生きる権利」が定められていますが、市民の生活を守る生協運動の一つの柱に、「平和」の運動があることは、平和があってこそ、市民の生命と生活が守られることを示していると思います。

広島、長崎とこの福島が並んで話されることは、想像さえしなかったのですが、原発事故は、この原水爆問題と全く別物でないことに気づかされました。

一昨日の8月4日の朝日新聞に、福島大学の元学長の星埜惇先生のインタビュー記事が載っていましたが、星埜先生は、原爆が投下されたとき、旧制の広島の高校生でした。そこで被爆者になり、30年前ほどから福島の被爆者の会の事務局長をやってきています。

被爆者のなかでも、浜通りで、「原発を批判するなら、参加できない。」「浜通りの人間は多かれ少なかれ原発に関わっている」といって、原発批判と一線を画すように求められてきたようです。

原子力を戦争に使う核兵器は否定するが、「平和利用」としての原子力は受け入れる。という考えが、福島だけでなく、多くの国民の考え方だったと思います。

しかし、原発事故直後、福島差別ともいえる動きが広がったが、これは、広島に向けられたかつての差別的まなざしと同じではないかと、星埜先生は感じ、「制御不可能な原発とそもそも共存できない」という脱原発の方向性を明確に打ち出すようになっています。安全に稼働しても、その廃棄物の処理すらできない現段階です。

この原発事故の被害で、県外に6万2千人が避難生活を送っていて、また県内も約10万人が避難しています。

どこかの電力会社の幹部が、津波でなくなった人は多いが、原発事故で無くなった人はないようなことを言った人がいますが、これは事実に反しています。今、震災関連死の弔慰金が問題になっていますが、3月末段階でも、全国1732人の認定のうち、福島県は761人と最も多い。ほとんどは、避難所生活の精神的・身体的負担によって、亡くなっている。犠牲者は3月11日の日だけでなく、その過酷な避難生活のなかで、亡くなっている。

昨日の日曜日、自宅で『ふくしまからきた子』という絵本を読んでいました。岩崎ちひろさんの息子さんとその娘さん(孫娘)が作った本ですが、舞台は広島。父親は福島、そして母親の実家の広島に福島から避難してきているという子の話です。ふくしまの子は、「外で遊んではいけない」という環境の中で育ち、友だちは、「じぶんが、いい子にしてなかったから、こんなことになったんだって泣いている」などなど。

広島の子は、爺さんが被爆2世で、放射能の怖さを教えられる。総理大臣になって、放射能をなくすんだというという子どもの言葉で終わっていますが、非常に、身につまされる絵本です。

この機会に、福島の置かれた位置と、広島や長崎のことを、どのように関連しているのか、なぜ、このような事態になってきたのか、直接的な事故の原因調査とともに、考えていくべきではないかと思っています。

原発をなくそうという署名が、コープふくしまでも6万人以上集まっています。先進的な運動を展開していると思います。

大震災から1年5カ月になろうとしています。被害は、避難者だけではなく、全県的に広がっています。復興を単に、住民避難した地域の復帰問題に閉じ込めないで、福島県全体の産業・雇用・医療など、あらゆる生活分野を復興することが課題になっていると思います。単に復旧だけでなく、住民本位の福島県を新たに建て直すつもりで進めなければならないと思います。

この機会に、われわれコープふくしまのあり方を問い直して、進んでいくことも求められているのではないかと思っています。

生き物だけでなく、企業や組織も、常に変わる、環境にあわせて変化していくことが必要ではないかと思います。変化することで、発展することができるのではと思います。

経営状態は詳しく報告ありますが、各部門の経営状況も見ながら、どこを変えることによって、改善できるのか、ぜひ、意見を寄せて欲しいと思います。

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