生活協同組合コープふくしま第19回通常総代会
(2013年6月12日・福島グリーンパレス)
【理事長あいさつ】
今野順夫
おはようございます。
第19回の通常総代会に際しまして、ご多忙の中、ご来賓の皆さんのご臨席をいただき、心から、感謝を申し上げます。日頃のご支援・ご指導も含め、ありがとうございました。
また、コープふくしまを支えて頂いている18万人の組合員の皆さん、そしてその先頭に立って活動しているご出席の総代の皆さんに、心からの敬意を表したいと思います。
東日本大震災から2年3カ月が過ぎました。月日の流れは早いですが、あの悪夢のような地震・津波・原発被害は、昨日のごとく思い出され、忘れることはできません。
しかし、その復旧・復興は、遅々として進んでいません。被災3県と云われますが、2年過ぎて、津波被害の深刻な宮城・岩手と比較しても、福島では原発被害が加わり、生業(なりわい)を確保して立ちあがろうとする努力の中で、風評被害が深刻になり、復興の見通しを立てること自体が困難な状況にあります。復興格差が生じています。このことは、まさに原発被害の深刻さを示していると思います。
多くの組合員を含め、県内9万人、県外6万人、約15万人の県民が避難せざるを得ない状況が続いています。最近の調べでは、福島県内では、地震や津波の死者である直接死1599人に対して、主として避難の中で関連死として認定された者が1390人、死亡届などを含めると3210人の方々が尊い命を失っています。これは進行形であり、原発被害は収束どころか、継続拡大しているといわざるを得ません。
震災直後の2011年度は、全国からの温かいご支援の中で、わがコープふくしまは、全ての店舗の被害等を克服して、組合員活動及び事業活動を展開できましたが、昨年度2012年度も、この成果の上に、さらに持続的に前進することができました。
特に注目すべきことは、震災以降の2年間で、避難や引っ越し等による組合員減少を克服し、さらに約1万人の組合員が増えていることです(純増)。目標とした18万人には昨年度中には到達できませんでしたが、先月5月20日現在では、18万107人に到達できました。
これはコープ職員の皆さんの意識的な取り組みとともに、仮設住宅への支援を含めた組合員活動が多彩に展開されてきた成果だと思っています。事業経営でも、直視しなければならない課題は大きいのですが、供給高において、前年度より11億円以上増加し、208億円弱になりました。経常剰余金も3億1500万円余りの黒字となっています。これは、組合員の皆さん、職員の皆さんの多大な尽力のお陰と思っています。
今日の通常総代会は、2012年度の活動を総括し、2013年度に向けた方針と決意を固める大会です。
生活協同組合は、組合員の生活を協同の力で守ることですが、コープふくしまが、住民の約3分の1を組織している現段階では、組合員のみならず地域社会全体の生活を守る役割を果たしてきています。
震災からの復興に向けた私たちの活動は、大きな社会的評価を受けてまいりました。食の安全の立場からの組合員の食事調査、ホールボディカウンタ検査、除染活動への取り組み、そして福島の農産物を支える取り組み等は、福島県はじめ各自治体からも、また環境省や農水省等国の機関からも大きな評価を頂いています。帰村宣言したが、買物の不便な川内村で、初めて共同購入を開始し、週2回の配達が必要となる拡がりをみせています。また仮設住宅等の皆さんへの支援活動にも、大きな感謝の声が寄せられています。
このように私たちの活動は大きな成果を勝ち取ることが出来ましたが、現在の情勢のなかで求められている課題からすると、さらに努力が必要と考えています。
政権が交代して、私たちの生活にも希望がもてるのかと期待する向きもありましたが、現実は厳しくなっています。生活必需品の価格がじりじり上昇しながらも、一人ひとりの収入はかえって減少している面もあります。公務員の賃金引き下げも行われており、市民の購買力は低下しています。店舗を始め、売上高の最近の低迷には、こうした経済状況をも反映していると考えています。そして、来年の4月には、消費税が8%に引き上げされ、再来年の10月には10%に上げられます。
消費税だけではありません。新政権の下で、TPP交渉参加が急速に進められています。日本の農業・水産業の問題とともに、食品添加物基準が障壁として撤廃され、医療においても保険のきかない診療の拡大、国民皆保険制度の崩壊も危惧されています。
さらに憲法の改正問題が、急ピッチに浮上し、いままで国会の3分の2の賛成がないと改正を提案できなかった96条のルールを改正して、過半数でも可能にしようとしています。あらゆる改正を容易にできるようにして、まずは9条の戦争放棄・戦力不保持というルールを改正して、集団的自衛権をも可能として、「国防軍」の創設がめざされています。戦争で泣くようなことは2度としないという「市民の切実な願い」が危機に瀕することが、現実のものになろうとしています。
原発のことも、未だに続く原発被災の惨状を忘れたかのように、原発再稼働の動きが強まっています。国外に、原発を輸出する動きが、急ピッチに進んでいます。原発に依存しない福島県のビジョン、また福島県議会が決議し、県内52の市町村自治体が求めている県内原発のすべての廃炉の切実な要望も、廃炉する4基以外の6基の廃炉については、いまだに明確な回答を得ることはできていません。こうしたことが、避難した方々の帰還に大きな足止めになっていることは否めません。すでに6万人以上の署名を、コープふくしまでは集約していますが、さらに、その声を強くしていかなければならないと思います。
組合員の生活を守る観点から、厳しい状況があることを認識しながらも、それを乗り越えていくのには、協同の力しかないことに確信を持って、コープふくしまの輪を2倍、3倍に広げていく必要があろうと思います。
私の郷里は、津波で7割の家が流され、1割の住民が犠牲になった宮城県の女川町ですが、いま中学生たちが、100円カンパを訴えて、1000年後の子どもたちが犠牲にならないように、津波到達点に「いのちの石碑」を建てる運動を、自主的に展開しています。私たちコープふくしまの活動も、私達に続く子や孫だけでなく、後世の国民や県民に、誇りとされるような活動をしていきたいと思います。
また、JAや各取引業者の皆さん、そしてこの度、サンネット東北事業連合に加盟された、コープあいづや県南生協の皆さん、全国のコープの仲間とも連携を強めていくことが重要になっています。
今日の総代会を契機に、団結して、さらに活動を前進させる決意を新たにして、挨拶に代えさせていただきます。
ありがとうございました。