産科医・故佐藤章教授のこと

 東大の上先生の「佐藤章 福島医大名誉教授を悼む」(「現場からの医療改革推進協議会第5回シンポジウム」)を読んで、佐藤先生の教え子の加藤先生が逮捕され、その支援のための活動を知りました。

 先生は、2010年6月28日、66歳で亡くなりました。

 教え子の救援活動とともに、佐藤先生の本領発揮は、「妊産婦死亡の遺族を支援する募金活動」にあったと上先生は書いています。

 佐藤先生は、「周産期医療の崩壊を食い止める会の活動を、これで終わらせてはご遺族も救われない」と言って、妊産婦死亡の遺族を支援する募金活動を立ち上げました。

 佐藤先生の言葉です。

 「医療には限界があるという現実と、我々だってご遺族に寄り添いたいんだという気持ち分ってもらうにはどうしたらよいだろうかと考えた時、百万言を費やすより行動で示すべきだと思ってました。ただ、そうは言っても刑事裁判が続いている間は迂闊な行動もできないわけで、幸い一審だけで決着がついたので、今回の活動を始めることにしました。医師が一生懸命ミス無く医療を行っても、助けられない現実がある。それを医師にミスがあったかどうか、という次元に留まっていては、第二第三の大野病院事件が必ず発生してしまいます。ですから、私はこの周産期医療の崩壊をくい止める会では、その先の次元に進むことができるような活動をしたいと思ったのです」

 2010年10月現在、既に数組の遺族に募金が手渡されました。ご遺族との関係も良好なようです。