あるラジオ放送/8月15日NHK

8月15日、NHKラジオ第一放送(20:05〜22:00)
 「鎌田實といのちを語ろう・仙台発〜これからをどう生きるか〜」(被災地・仙台市からの公開生放送。いかに“支え合う関係”を作り、これからをどう生きるのか?10代や20代の若者たちと「支え合い」をキーワードに語り合います。ゲストは、鎌田實さん、JAPAN元気塾理事長の加藤秀視さん、女優のサヘル・ローズさん。 司会:村上信夫

村上)
「もう一人紹介をします。宮城県の女川の小学校の5年生、阿部弘愛(ひろか)さんが今日は来てくださいました。津波で、お祖母ちゃん、お母さん、そしてお姉さんを亡くしていらっしゃいます。」
アシスタント)
「阿部弘愛さん、今日は、お祖父ちゃんとお祖母ちゃん、お父さんと叔母さんと来てくださいました。」
村上)
「お家族でね。ありがとうございました。弘愛さん、そういう辛い体験をしたんですが、なんでもこの前、小学校の校長先生が朝礼でお話をしてくれて、校門の近くまで津波が押し寄せたけれども、学校のヒマラヤスギの大きな木はどっしり構えていたということを校長先生がお話をなった時に、なんで木は倒れなかったんだろうという問いかけに、弘愛さんが答えた言葉を皆さんに教えてくれますか?」
弘愛)
「なんというか、ずっと続いている学校で、みんな卒業生とか、今いる在校生とかが、みんな地域の人を見て、その温かい眼差しに支えられているから、負けなかったんだと思います、と答えたんです。」
村上)
「そうやって、周りのみんなも、校長先生も、その言葉を聴いて、大変感動されたそうですけれども、弘愛さん、どうだろう、自分の口から、どうしてそういう言葉が出てきたのだと思いますか。」
<沈黙>
弘愛)
「いきなりふられて、なんか咄嗟に思いついた答えだったんで、何でなのかなって・・」
村上)
「自分でも、そう思う」
弘愛)
「でも、ここまで自分の言葉で、こんなに感動してもらえるというのは、なんか初めてで、すごいびっくりして」
村上)
「お祖母ちゃん、お母さん、お姉ちゃんが亡くなりました、弘愛さんはここに命があります。どなふうに思いますか。自分がこうして生き
残った、生きているということを広愛さんは、どんなふうに、思いますか」
<沈黙>・・・・
「横でご家族がの方が目頭が抑えていらっしゃいます、ゴメンネ。・・・・」
<沈黙>・・・・
弘愛)、
「今の学校の先生から、生きているということは、生きている人には役目があるから生きているんだよと、それは生かされていることなのかなと。姿は見えなくても、いつも一緒にいるのかなと思います。お姉さんも、お母さんも、お祖母ちゃんも、ずっとなんか居なかったんだなと思うと凄い悲しかったんだ、でもやっぱり、みんなが傍にいるからねと、言ってくれるような。」
村上)
「この会場にも、きっと一緒に来てくれているよね、聴きにくいこと、言いにくいことを聴いて、ごめんなさい、本当にありがとう。
ありがとう。」
加藤
「今日はありがとうございました。・・・弘愛さん、ほんとうにありがう。・・彼女から本当に力もらいましたし、やっぱりこうやって生きていることは、どれだけ大事なことで、・・・彼女はたった11歳なのに、本当にいま必要なものを失っても、それでも強く生きようとしている、・・・本当にありがとうございます。」
・・・・・・
鎌田
「弘愛ちゃんが、温かい眼差しで、ヒマラヤスギの巨木は倒れなかったと言われたとおり、温かい眼差しって凄く大事で、東北は傷が深いですよ、もう5ヶ月経ったから、もう大丈夫なんて状況じゃないです。だから日本中、東北へ向けた温かい眼差しがまだまだ必要だということをいいたいですね。」