憲法をいかす福島県民集会での連帯あいさつ

憲法をいかす福島県民の会

   6.3憲法をいかす福島県民集会での連帯あいさつ

           (2003.6.3とうほう・みんなの文化センター)

 

 福島県九条の会の共同代表をしている今野と申します。

 憲法をいかす福島県民の会主催の「2023憲法をいかす福島県民集会」に対して、

「連帯のあいさつ」を述べさせていただきます。

 福島県九条の会は、2004年に結成された全国的な憲法九条の会結成に呼応して、県内でも著名人25人の呼びかけで、2005年2月に結成され、18年が経ちました。

各地域・職場にも「九条の会」がつくられ、草の根的に、憲法九条、憲法の平和主義を守るという事で、全国では約7500の九条の会がつくられ活動してきました。福島県内でも、約100の単位九条の会が結成されていますが、最近のコロナ禍の中で、活動の困難があります。

しかし、情勢の急変の中で、各地で運動を再開しています。ここ1月ほど、私個人も県内の集会に参加してきました。会津若松、勿来、南相馬での会合です。いずれも、主催者が想定した以上の参加者が100名、200名と集まっています。

コロナによる規制の緩和もありますが、情勢が急激に変化し、市民の多くが、危機感を感じ始めていることの反映と思います。岸田政権が、安保3文書に基づき、「敵基地攻撃能力」の保有、5年間で43兆円の大軍拡を進める緊迫した状況の中で、憲法9条を守ろうと立ち上がり始めていると感じます。

しかし、ウクライナへのロシアの侵攻以来、市民の中で、外国の武力による侵攻に対し、手を拱いていてはだめだ、九条の軍備の不保持を守っていては、国も国民も守れないのではないかという意見が強くなっているのではないかと思います。私たちが行っている街頭宣伝や街頭署名の中で、特に感じます。こうした声に依拠して、政府は大軍拡が進めていると思います。軍事に対しては軍事で、武器に対しては武器で対抗すべきとする考え方です。

しかし、こうした方向では、双方に大きな犠牲が生ずることは、ウクライナのことを見ても自明のこと思います。

憲法の前文は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」として、まさに話し合い、国際的な交渉で、紛争は解決しようとしています。すでに、日中間も、1978年の平和友好条約でこのことを確認してきている。

また。核兵器の威嚇がなされている中で、国連の大多数の国によって、核兵器禁止条約が締結され、2021年1月22日に発効して、すでに締約国会議も持たれていますが、残念ながら日本は、これにオブザーバーとしても参加していません。

唯一の戦争被爆国として、日本は核兵器禁止の先頭に立つべきと考えています。それどころか、最近開催された主要7か国首脳会議では、被爆地・広島で開催しながら、G7から「核抑止力」論を全面的に正当化する「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が出されたことは、極めて許しがたいことです。

国際的なテロの事件などでも、日本は被爆国であり、「軍隊を持たない」憲法を持っているとして、尊敬の眼で見られることもありました。残念ながら、今では、それも失いつつあります。

こうした時期であるからこそ、9条を守り発展させる運動は、ますます重要になってきています。今、「9条の碑」を建てる運動が展開し、全国には、少なくとも18か所にあります。特に沖縄県では、7か所と一番多い。それは、厳しい沖縄戦での経験が、そうさせていると思います。今再び、沖縄での防衛体制の強化が、沖縄県民を、特に不安に陥れていると思います。今朝の福島民報をみますと、「沖縄陸軍病院南風原はえばる)壕群20号」の近くに立つ「憲法九条の碑」があります。当時の軍医が詠んだ歌の碑のそばに「憲法九条の碑」が建っています。その歌は、「両の足/失なひし兵/病院を/探して泥道/這ひずり来る」と歌っています。

この福島県は、3.11の大震災に伴う原発事故で、重大な憲法問題を提起していますが、もともと歴史的にも憲法との係わりが深い土地です。自由民権運動に関わる福島事件、戦争国策によるウラン採鉱強制、戦後最大の冤罪事件と言われる松川事件などの歴史的事件の現場であるとともに、日露戦争時に日本最初の良心的兵役拒否者となった矢部喜好(きよし)、太平洋戦争後に憲法研究会の主要メンバーとして民間憲法草案を起草してGHQ草案に影響を与えた鈴木安蔵日本国憲法審議過程で、「平和」や「生存権」等の導入に大きな役割を果たした鈴木義男など、重要人物の出身地です。

こうした土地だからこそ、憲法を守る、平和主義を守る先頭に立っていく必要があると思います。

今後、福島県憲法運動において、皆さんと私たち福島県九条の会が、協力して、運動を発展させていきたいと思います。1+1が2ではなく、3,4になることを期待して、連帯のあいさつとさせていただきます。

ありがとうございました。